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メルマガサイト「夜間飛行」(http://yakan-hiko.com)にて、精神科医・名越康文氏が「全世界史」を書評してくださいました。運営元の了解をいただき、下記に全文を掲載いたします。

 

 

★生命―社会―宇宙を貫く<世界史>の本
 
■僕らは世界史の「中心」をあまりにも知らなすぎる
ぜひ、世界地図を手元に置きながら読んでほしい本です。僕は高校生向けの副読本の<地図・年表>と見比べながら、あっという間に、興奮とともに読み終えました。
世界地図を開くと、本書において重きを置いて紹介される中央アジアの広大さが嫌というほどわかります。
しかし、僕らが学校教育の中で学ぶ中央アジアについての知識は(驚くほど)わずかです。
 
教科書の中でそれぞれの地域の歴史にどれくらいのページ数が割かれているかを調べればはっきりすると思いますが、僕のイメージでは西洋史が60%、中国史が30%、その他のアジア、アフリカといった地域が残りの10%を分け合う、といったところでしょうか。
しかし、世界地図を虚心坦懐に眺めてみてください。「中央アジア」というアジアの一部という印象を受けますが、その場所は誰がどうみたってユーラシア大陸の中心であり、とてつもなく広大な領域なんです。
 
僕らはあまりにも、ユーラシア大陸の「中心」について、何も知らなすぎる。そう考えざるを得ないと思うんです。
 
■既存の世界史はあまりにもよくできすぎている
世界史の「中心」について僕らが「あまりにも知らない」ということは、逆に、そこにこそ何か、僕らがいまだ気づいていない認識のゆがみ、あるいはつかみそこねている真実のカギが眠っていることを思わせます。
本書には、僕らがまったく知らない「全世界史」が紹介されています。
紀元前後、ユーラシアの中心で数百年にわたって隆盛を誇ったパルティア帝国。それを作った民族は、自らを「アスカ」と呼んでいた。アスカと言えば日本人であれば誰もが想像する「飛鳥」にも、その系譜は確実につながっている……こうしためちゃくちゃにおもしろい「全世界史」のエピソードの詳細は、本書に譲りましょう。
また、本書でも述べられていることですが、ここで展開される「全世界史」の真偽については、専門家が時間をかけて、丹念に検証しなければ白黒つけられないことも多いでしょうし、それについては、町医者である僕がとやかくコメントすることではないでしょう。
 
しかし、本書が僕らにもたらしてくれる最大の知見は、そうした「既存の歴史とは異なる事実」ではなく、もっと大きなパラダイムチェンジだと思うんです。
僕自身、実は学校教育の中で既存の西洋史+中国史を中心とした歴史を学ぶ中で、漠然とした違和感を覚えてきました。それはほとんど言語化できないような違和感ですが、あえて言葉にするならこういうことです。
 
「ほんとによくできた物語だ。よくできすぎている」
 
そうなんです。僕らが良く知る「世界史」って、人類が進化、発展してきた物語として、あまりにも良くできすぎているんです。四大河文明があって、ギリシア・ローマがあって、中華文明があって……という歴史をなぞっていくと、なるほど、こうやって今の我々が暮らす世界に至るのか、と納得できる。
民族・国家間のパワーゲームとしても、人類という種の精神史としても、よくできている。いや、よくできすぎているぐらいよくできた物語なんです。
仮に人類の歴史が大きなひとつの生命体だとすれば、これはあまりにもわかりやすすぎるのではないか。それは解剖され、分類され、整理されつくした「標本」に過ぎないのではないか、という疑念がわいてくる。
 
しかし、そこでちょっと厄介なことは、僕らが「なるほど」と納得するその基準自体が、そういった歴史を作ってきた西洋文明の論理によって少なからず規定させられている、ということなんです。つまり「原因と結果」という単線的なストーリーで理解するということ自体に、僕らの頭が慣れてしまっているんですね。

僕らは二重の意味で、西洋中心の歴史に納得してしまう。栗本さんの仕事は、そういう僕らの認識の枠組み、引いては人間観全体に、一石を投じるものだと思います。
 
確かに、「中央アジアの歴史が空白であること」そのものは、今の我々の常識からすれば世界観に残された「小さなほころび」に過ぎません。
 
しかし、栗本さんの射程は、そのほころびから、いまある生命観、世界観、宇宙観をひっくり返そうというところまで伸びています。さらにいえば、その試みは昨日今日始められたものではなく、栗本さんが名著『パンツをはいたサル』以来、脈々と積み上げてこられた、栗本生命論の集大成なのです。
 
■生命―社会―宇宙を貫く<世界史>の本
僕は本書を読み終えたとき、養老孟司先生の『唯脳論』がもたらしたパラダイムチェンジに思いをはせました。
 
『唯脳論』が青土社から刊行されたのが1990年です。20年余りが立ったいま、養老先生が提示した、脳、そして身体をめぐる物の見方を丸っきり受け入れないという人は少なくなってきているように思います。甲野善紀先生の取り組みをはじめとして、身体というものが持っている豊かな可能性に目を向ける人も、そう珍しくはなくなってきました。
 
もちろん、それはまだ、現代人の身体観としてメインストリームとは言えないと思いますが、少なくとも、養老先生の提起した、西洋的な捉え方とは違った身体と脳の捉え方は、さまざまな場面で、ひとつの物の見方として、市民権を得るようになったと思うんです。

栗本さんの「全世界史」が、養老先生の身体論のように受け入れられていくのか。それは僕にはわかりません。ただ、そのスケール感や、生命(身体)―社会―宇宙というものを一体として説明する生命観、宇宙観には、通じるものを感じるのです。
 
少なくとも僕らはいま、意識的にせよ、無意識的にせよ、自分たちを縛っている「西洋史的世界観の枠組」から自由になりたがっています。栗本さんの世界史は、きっとそういう潜在的なニーズに応えるものとなっているように思うんです。
 
2013年5月22日配信より)

 

 
 
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